はじめに
EUでは近年、環境配慮を「企業努力」ではなく、法令遵守事項として位置づける動きが急速に進んでいます。その象徴的な取り組みがEUサーキュラーエコノミー法です。
本記事では、日本企業がEU市場で事業を継続・拡大するうえで不可避となるEUサーキュラーエコノミー法について、概要、開始時期、日本企業への影響、具体的対策、対応を怠った場合のリスクまでを実務目線で整理します。
EUサーキュラーエコノミー法とは
EUサーキュラーエコノミー法とは、製品・包装・素材を「最初から循環する前提」で設計・流通させることをEU全体で義務化する包括的な法制度です。
従来のEU規制では、包装、廃棄物、製品設計などが個別に規制されていましたが、本法ではこれらを横断的に整理・強化し、製品ライフサイクル全体を通じた循環性を法的に担保します。
具体的には、PPWR(包装規則)、EPR制度、エコデザイン規則(ESPR)など既存制度を基盤としながら、循環できない製品はEU市場に出せないという原則を明確にします。 これは環境配慮の推奨ではなく、EU市場における販売条件そのものとなる点が最大の特徴です。
EUサーキュラーエコノミー法はいつから試行される?
現時点で想定されているスケジュールは以下のとおりです。
- 2026年:欧州委員会が法案(proposal)を正式に公表予定
- 2027年:欧州議会・欧州理事会による審議・修正・採択プロセスが進行
法成立後、一定の移行期間を経て段階的に適用される見込みですが、注意すべき点として、関連する個別規制(PPWR、EPR、ESPR等)はすでに先行して施行・強化が進んでいます。
そのため、EUサーキュラーエコノミー法は「将来の話」ではなく、すでに準備が必要な規制といえます。
ケース別|日本企業への影響
- EU市場へ新規参入する場合
EU向け仕様が最初から前提条件となり、後付けでの規制対応は困難かつ高コストになります。
「まずは出してみる」「試験販売で様子を見る」といった参入方法は、今後ほぼ不可能になります。
- すでに欧州市場で流通している場合
既存製品が将来的に不適合品となるリスクがあります。
包装・素材・設計の見直しが必要となり、対応計画が整理されていない場合、継続販売そのものがリスクとなります。
- 新商品を開発する場合
設計段階からEU規制を前提条件として組み込む必要があります。
再生材の使用、分解性・修理性、包装設計が初期仕様に大きく影響し、EU向けと他地域向けで仕様を分ける判断も必要になります。
具体的な対策(商品別)
- 食品・飲料商品の場合
包装はEUでリサイクル可能な素材を前提に設計する必要があります。複合素材包装(紙+アルミ+プラ等)は、使用可否を事前に確認し、包装重量・素材構成を把握したうえで、EPR(例:フランスCITEO)への申告を前提に設計します。 - 化粧品・日用品の場合
容器は単一素材または分別しやすい構造が求められます。詰め替えや再利用を想定した設計、循環性を考慮した容器・外装デザインが重要になります。 - 家電・電気製品の場合
分解・修理・部品交換を前提とした構造設計が求められます。廃棄時に金属・プラスチックを分別回収できる設計や、製品寿命の延長を前提とした設計方針が重要です。 - 包装資材・容器単体を扱う場合
EUで「リサイクル可能」と認められる材質・構成を採用し、再生材使用率の引き上げや、将来の回収・再利用スキームを前提とした設計が求められます。
Swapsssができること
Swapsssは、EUサーキュラーエコノミー法を含む欧州規制に対し、設計・書類・実務を一体で支援します。
商品別・用途別の規制整理、製品・包装・素材の循環性チェック、仕様書とEU向け書類の照合・検証、EU向け説明資料や証明類の作成、PPWR・EPR対応、欧州拠点からの実務調整まで、日本語で一貫した支援が可能です。
EUサーキュラーエコノミー法を怠るとどうなるか
EU規制への適合責任は、現地取扱会社(輸入者・ディストリビューター)が負います。
そのため、不適合が判明した場合、取扱会社は自社リスク回避のため即時取扱停止を選択するケースが少なくありません。
また、規制適合が取引開始の前提条件となるため、新規販路開拓は事実上不可能となります。
さらに、当局調査、是正命令、罰金、ブランド価値の低下といったリスクにも直結します。
まとめ
EUサーキュラーエコノミー法は、環境対策ではなく、EU市場で事業を継続するための前提条件です。
早期に整理・対応することで、販売停止や信用低下のリスクを回避し、EU市場での競争力を維持することが可能になります。