EU化粧品規制におけるPFASとは|禁止動向・リスク・対応方法

EU化粧品規制におけるPFASの扱い、禁止動向、リスクを整理。成分チェックを起点とした実務対応と対策を解説

はじめに

近年、PFAS(有機フッ素化合物)は環境・健康への影響が懸念され、EU全体で規制強化の動きが加速しています。
特に
EU化粧品規制(Regulation (EC) No 1223/2009)においても、PFASを含む成分の扱いは重要な論点となっています。

撥水性・耐久性などの機能から、化粧品にも使用されてきたPFASですが、今後は広範な制限・禁止の対象となる可能性があり、企業にとっては早期対応が不可欠です。

実際に、
・PFASが含まれているか把握できていない
・EU規制上の扱いが分からない
・代替成分の検討が進んでいない
といった状況のまま、欧州市場への展開を進めているケースも少なくありません。

本記事では、PFASの基礎から、EU化粧品規制における位置づけ、規制動向、リスク、そして企業が取るべき対応までを整理し、EU化粧品規制への実務対応をどのように進めるべきかを解説します。

PFASとは何か

PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances)は、フッ素を含む有機化合物の総称で、数千種類以上の物質群を指します。
水や油をはじく性質(撥水・撥油性)や耐熱性・耐久性に優れていることから、さまざまな製品に使用されてきました。

化粧品分野では、以下のような「機能が強い製品ほど含まれている可能性が高い」点が重要です。

・ウォータープルーフ系(マスカラ/アイライナー/ファンデーション)
・皮膜形成・化粧もち向上(ベースメイク/プライマー/リキッドファンデーション)
・滑り性・感触改善(パウダー/フェイスパウダー/チーク)
・乳化安定剤(クリーム/日焼け止め)
・揮発性溶剤(ヘアスプレー/メイクフィキサー)

これらはすべて、「落ちにくい」「崩れにくい」「なめらか」といった製品価値を高める機能ですが、同時にPFASが使われやすい領域でもあります。

一方で、PFASは環境中でほとんど分解されず、体内や環境に蓄積する可能性がある物質群とされており、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。
EUではこの特性が問題視され、化粧品を含む広範な用途で規制強化が進んでいます。

特に注意すべきは、自社でPFASを使用している認識がなくても、原料レベルで含まれているケースが多いという点です。
原料メーカーの仕様書に明記されていない場合もあり、気づかないままEU規制に抵触するリスクがあります。

つまり、
「高機能な化粧品ほど、知らないうちにリスクを抱えている可能性がある」

というのが現実です。

EU化粧品規制におけるPFASの位置づけ

EU化粧品規制(Regulation (EC) No 1223/2009)では、PFASという物質群が一括で明確に定義・禁止されているわけではありません。しかし実務上は、個別成分としての規制と、REACH規則との連動により厳しく管理されています。

■個別成分としての規制(Annex対応)
PFASの中には、既に特定成分として使用制限または禁止対象となっているものが存在します(Annex II/III)。
そのため、「PFASかどうか」ではなく、INCI単位での確認が必須となります。

■REACHとの連動(規制の本質)
現在EUでは、PFASを広範に制限するREACH規則の提案が進行しています。
この規制が導入されると、化粧品用途を含め、ほぼすべてのPFASが段階的に制限される可能性があります。

■「現時点で使用可能=安全」ではない
現時点ではすべてのPFASが禁止されているわけではありませんが、

・将来的に禁止対象となる可能性が高い
・販売継続ができなくなるリスクがある
・代替成分の検討が必要になる

という状況にあります。

■サプライチェーン全体でのリスク
PFASは原料レベルで含まれることが多く、

・原料メーカーが明示していない
・微量混入(不純物)として含まれる
・意図せず使用されている

といったケースが現実に存在します。

そのため、最終製品だけでなく、原料レベルでの確認が不可欠です。

■結論
EU化粧品規制におけるPFASは、
個別成分規制(1223/2009)とREACH規則の両面から管理されており、今後は全面的な制限対象となる可能性が高い領域です。

PFASの規制動向

PFASは現在、EUにおいて最も規制強化が進んでいる化学物質群の一つであり、化粧品分野でも実質的に使用が困難になる方向に進んでいます。

■EU全体:包括的なPFAS制限(REACH)
EUでは、PFASを個別物質ではなくグループ全体として規制する提案が進行しています。
欧州化学庁(ECHA)による評価が進められており、今後、化粧品を含む広範な用途で段階的な制限が導入される可能性があります。

■政策方針:原則禁止の方向
EUの化学物質戦略では、PFASは原則として消費者製品での使用を制限し、必要不可欠な用途のみ例外とする方針が示されています。

■各国動向:先行規制の開始
EU全体の規制に先行して、各国では個別の制限が進んでいます。
例えばフランスでは、PFASを含む製品に対する規制強化が進んでおり、今後、化粧品分野にも影響が及ぶ可能性があります。

■業界動向:自主的な使用削減
化粧品業界でも、PFASの使用を段階的に削減・廃止する動きが進んでいます。
これは将来的な規制強化を前提とした対応です。

■実務上のポイント
現在の状況は以下の通りです。

・EU全体での全面禁止は未確定
・ただし規制強化の方向は明確
・一部地域では先行制限が開始
・業界全体が代替へ移行中

つまり、現時点では完全禁止ではないものの、実務上は「使用を前提としない設計」への移行が求められています。

■結論
PFASは今後のEU化粧品規制において、最も影響の大きい領域の一つです。
現時点で問題がなくても、将来的に販売継続が困難になるリスクが高く、早期対応が不可欠です。

PFAS含有によるリスク

PFASを含有したままEU市場へ展開する場合、単なる成分リスクにとどまらず、販売・契約・ブランド全体に影響する実務リスクが発生します。

■販売停止・市場撤退リスク
規制強化や各国の先行制限により、PFASを含む製品は販売継続ができなくなる可能性があります。
上市後に規制対象となった場合、急な販売停止や市場撤退を余儀なくされます。

■処方変更・再申請コストの発生
PFASが規制対象となった場合、代替成分への切り替えが必要になります。
これに伴い、処方変更、安定性試験、CPSRの再評価、CPNP再登録など、大幅な時間とコストが発生します。

■通関・流通でのリスク
規制動向に敏感なディストリビューターや輸入業者は、PFAS含有製品の取り扱いを回避する傾向があります。
その結果、輸入拒否や通関遅延、取引停止につながる可能性があります。

■ブランド信用の毀損
PFASは環境・健康リスクの観点から注目されており、消費者・小売双方の評価に影響します。
規制違反でなくても、「PFAS含有」という事実だけでブランド価値が低下するリスクがあります。

■サプライチェーンリスク
原料レベルでPFASが含まれている場合、サプライヤー変更や仕様変更が必要になります。
後から発覚すると、製造・在庫・販売すべてに影響が及びます。

■実務上の本質
PFASリスクの最大の問題は、
「知らないうちに含まれている可能性がある」点です。

・原料仕様書に明記されていない
・微量成分として含有
・意図せず使用されている

といったケースが現実に存在します。

■結論
PFASは、現時点で問題が顕在化していなくても、
将来的に販売継続を困難にするリスクを内包しています。

対応の遅れは、
・再開発コスト
・販売停止
・ブランド毀損
につながるため、早期の確認と対応が不可欠です。

Swapsssが対応できるPFAS規制対策

Swapsssでは、EU化粧品規制におけるPFAS対応について、成分確認から規制判断、代替対応まで実務ベースで支援します。

■PFAS含有確認
INCI名・原料情報・SDSをもとに、PFAS該当可能性を確認します。

■EU化粧品規制との適合判断
Regulation (EC) No 1223/2009、REACH、各国規制を踏まえ、販売リスクを整理します。

■サプライヤー確認支援
原料メーカーへの確認項目を整理し、PFAS非含有証明や追加情報の取得を支援します。

■代替成分の検討支援
PFASに該当する可能性がある成分について、代替候補や処方見直しの方向性を整理します。

■PIF・CPSRへの反映
成分チェック結果を、PIF・CPSR・CPNP登録前の実務資料に反映できる形で整理します。

■継続的な規制更新対応
PFAS規制、REACH、EU化粧品規制の更新を確認し、販売後のリスク管理まで支援します。

PFAS対応は、単なる成分確認ではなく、販売継続リスクを減らすための実務対策です。

PFASに関するEU化粧品規制対応は、単なる情報収集ではなく、成分・サプライチェーン・書類まで含めた実務対応として進める必要があります。

① 成分レベルでのPFAS有無確認
最終製品だけでなく、原料単位でPFASの該当可能性を確認します。INCI名、SDS、仕様書をもとに精査が必要です。

② サプライヤーへの情報取得
PFAS非含有証明、含有の可能性、代替可否などについて、原料メーカーからの情報取得を行います。曖昧な回答のまま進めるのはリスクとなります。

③ EU化粧品規制との適合判断
Regulation (EC) No 1223/2009およびREACHの観点から、販売可能かどうかを判断します。将来規制も踏まえた評価が重要です。

④ 代替成分・処方の検討
PFAS該当リスクがある場合は、代替成分への切り替えや処方見直しを進めます。製品機能とのバランスも考慮が必要です。

⑤ PIF・CPSRへの反映
成分情報および安全性評価をPIF・CPSRに反映し、規制対応として説明可能な状態を整備します。

⑥ 継続的な規制モニタリング
PFAS規制は現在進行形で更新されているため、販売後も継続的な確認と対応が求められます。

PFAS対応は「問題が出てから対応する」のではなく、事前に確認し、販売継続リスクを回避するための対応です。

まとめ

EU化粧品規制におけるPFASは、現時点で一律に禁止されているわけではないものの、REACH規則との連動により、広範な制限・禁止に向かっている領域です。
そのため、「今は使える」という前提で製品設計を行うこと自体が、将来的な販売継続リスクにつながります。

特にPFASは、原料レベルで含まれているケースが多く、企業側で把握できていないまま使用されていることも少なくありません。
この状態で欧州市場に展開した場合、販売停止・処方変更・再申請・ブランド毀損といった影響が発生する可能性があります。

重要なのは、
・成分レベルでの確認
・EU化粧品規制およびREACHとの適合判断
・代替成分の検討
・PIF・CPSRへの反映
といった対応を、事前に実施することです。

PFAS対応は単なる規制対応ではなく、欧州市場で継続的に販売するための前提条件となりつつあります。

PFAS成分チェック

原料レベルまで遡り、PFAS該当の有無を確認。EU化粧品規制・REACHを踏まえ、販売リスクを事前に整理します。

EU化粧品規制対応支援

成分チェックからPIF・CPSR・CPNPまで一括対応。PFAS規制を含め、欧州市場での販売体制を構築します。

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