
はじめに
欧州では環境保護の観点から、製品のリサイクルに関する規制が年々厳しくなっています。特にEU加盟国では、消費者にリサイクルの必要性を明確に伝えるために、「リサイクルマーク」の表示が義務付けられています。この記事では、欧州で使用される代表的なリサイクルマークの概要と、それに加えてフランス進出では、独自の規制である「Trimanマーク」について詳しく解説します。製品の輸出入や販売に関わる企業にとって、これらのマークの正しい理解と対応することは、フランス進出では不可欠です。
弊社の経験上、現地ディストリビューター(売上数億以上)など、必ずTrimanマークの有無について、聞いてきます。
または、せっかく上記ディストリビューターと契約し販売拡大フェーズに入ったにも関わらず、一般消費者や競合他社からの密告で販売差し止めになるケースも多く。
フランス進出で、規制を無視して販売を続けると、どこかのタイミングで必ず揚げ足を取られますので、注意ください。
よって、フランス進出では、必ず現地の専門家に相談する事をお勧めします。
欧州リサイクルマークの定義
欧州における「リサイクルマーク」とは、製品やパッケージが再利用可能である、または適切なリサイクルプロセスに従って処理されるべきであることを示す記号です。最もよく知られているのは、循環する3つの矢印で構成された「モビウスループ(Mobius Loop)」です。また、WEEEマーク(電気電子機器廃棄物マーク)や、ガラス、紙、プラスチックなど素材別のリサイクルシンボルもあります。
これらのマークは、製品が廃棄された後、環境に与える影響を最小限に抑えることを目的としており、消費者が正しい廃棄方法を選べるようにするための重要な手がかりとなります。
リサイクルマークを怠ると
欧州で販売される製品にリサイクルマークを適切に表示しない場合、各国の規制に基づいて罰金や販売停止措置が科される可能性があります。特にEUでは「拡大生産者責任(EPR)」の原則が導入されており、生産者や輸入業者が製品のライフサイクル全体に責任を持つことが義務づけられています。
たとえば、WEEE指令に準拠していない電子機器には、販売停止やリコール命令が下されることもあり得ます。また、消費者の信頼を損ねるリスクもあるため、マークの表示は単なる義務ではなく、企業の信頼性を示すシンボルでもあると言えるでしょう。
フランス進出、リサイクル規制のTrimanマークとは

フランス進出におけるリサイクルの特有な規制として「Trimanマーク」があります。これは2015年1月からフランス国内で義務化されたもので、消費者に対して製品や包装がリサイクル可能であり、分別収集の対象であることを示すマークです。
Trimanマークは、人型のシンボルと矢印、循環の意味を含んだシンプルなデザインで、製品が適切に分別廃棄されるべきであることを示します。これはフランス特有の制度であり、他のEU諸国にはないため、フランス進出し、商品を販売する企業にとっては特に重要な要素となります。
Trimanマークの対象商品
Trimanマークの表示が必要な商品には、以下のようなカテゴリーがあります:
- 一般消費財のパッケージ(プラスチック、紙、金属など)
- 電気・電子機器
- テキスタイル製品(衣類・靴など)
- 家庭用家具
- タイヤやバッテリーなどの特殊商品
ただし、すべての商品が対象になるわけではなく、再利用可能であってもリサイクルシステムが整っていない場合などは除外されることがあります。対象範囲は随時拡大・見直しが行われているため、最新の法令に注意を払うことが必要です。
Trimanマークの申請方法
Trimanマークを表示するためには、まず「Citeo」などのフランス国内の認定団体に登録を行う必要があります。登録後、該当商品の分類に応じたリサイクル指示とともに、マークの表示が義務付けられます。
申請手順の概要は以下の通りです:
- フランス国内での製品販売事業者として登録
- 該当する製品カテゴリの確認
- CiteoなどEPRスキームに登録・契約
- 提供されるリサイクル情報(Info-tri)に従って表示内容を作成
- パッケージまたは製品にTrimanマークと情報を印刷
登録や使用ガイドラインには英語でのサポートもあるため、海外企業でも対応は可能ですが、法律や規則はすべてフランス語で公開されている点に注意が必要です。
フランス進出で注意点!
Trimanマークを怠ると
Trimanマークの表示義務を怠った場合、フランス国内では最大15,000ユーロの罰金が科されることがあります。また、違反が継続した場合には追加的な処罰や販売禁止措置の対象となる可能性もあります。
さらに、監督機関からの査察や、消費者団体からの指摘が入った場合には、迅速な是正対応が求められることになります。したがって、Trimanマークに関する体制を社内で整えておくことは、リスク管理の観点からも非常に重要です。
これは、サンプルやテストマーケティングという名目での販売でも対象になります。
よって、フランス進出では欧州規制を理解し、対応してくれる信頼できる現地企業が不可欠です。
まとめ
欧州におけるリサイクルマークの表示義務は、環境保護だけでなく、企業の社会的責任や消費者との信頼構築にも深く関わっています。特にフランスにおいてはTrimanマークの存在があり、他国とは異なる対応が求められます。
輸出や現地販売を行う企業は、それぞれの国のリサイクルマーク制度と表示義務を正しく理解し、最新の法令に準拠した運用を行うことが重要です。特にフランス市場をターゲットとする場合、Trimanマークの導入は避けて通れない義務であるといえるでしょう。