はじめに

欧州連合(EU)では、2021年以降「CLP規則(分類・表示・包装規則)」および「UFIコード(ユニーク調合識別子)」の適用が急速に進み、消費者向け製品の安全確保が強化されました。

特に日本企業が欧州市場にアロマオイルやルームスプレーなどの雑貨を輸出する場合、このCLP規則とUFIコードの対応義務化されており、テストマーケティングやサンプル品であっても例外ではありません

EUでは「販売の有無」ではなく、「市場への流通そのもの」が規制対象となるため、規制対応なしの出荷=違法となる可能性もあります。本記事では、欧州市場への進出に不可欠なCLP規則とUFIコードについて、実務面も含めてわかりやすく解説します。

CLP規則・UFIコードとは?対象製品や背景

CLP規則(Regulation (EC) No 1272/2008)は、EU内で販売される化学物質および混合物(調合品)の危険性を分類し、適切に表示・包装するための規制です。

この規則に基づき、以下のような製品には「危険性分類」「GHSピクトグラム」「注意喚起文」「UFIコード」などの表示が義務付けられています。

CLP規則の主な対象製品例

  • アロマスプレー、ディフューザー、芳香剤

  • 台所用・トイレ用・住居用洗剤

  • 除菌・消毒スプレー(化粧品以外)

  • 接着剤・塗料・溶剤類

  • 自動車ケミカル、DIY製品

たとえ「雑貨」として販売していても、成分が有害であればCLP規則の対象になります。
製品ごとに
SDS(安全データシート)を用意し、分類評価を行ったうえで、必要に応じてUFIコードの取得が求められます。

UFIコードを取得するための手順

UFI(Unique Formula Identifier)とは、EUの毒性センターに製品情報を提出する際に用いる16桁の識別コードです。

UFI取得の基本的な流れ

  1. UFIコードを生成

  2. 製品成分に基づくPCN(毒性センター通知)提出

  3. UFIコードを製品パッケージに表示

ただし、実際にはこの作業を行うには次のような課題があります:

  • ECHA(欧州化学品庁)のポータルでのPCN提出にはEU域内事業者(VAT保有者)である必要がある

  • 日本企業単独では提出権限がない

  • UFIコードの表示は、PCN提出が完了していないと違法

そのため、欧州に拠点がない日本企業が単独で対応するのは非常に困難であり、信頼できる現地代理人や提出代行業者の協力が不可欠です。

UFIコードを取得するには、現地責任者の選任が必要

CLP規則においてPCN提出・UFI管理を行うには、**EU域内に拠点を持つ「責任者」**を正式に選任する必要があります。

この責任者には、以下のような役割が求められます:

  • 製品情報のPCN提出

  • 提出情報の更新・管理

  • ラベル記載内容の法的適合の確認

注意すべき点

初回取引の相手企業にPCN提出を任せてしまうと、製品の全成分が相手に渡ることになります。また、相手が規制を正しく理解していない場合、不完全な提出や違反のリスクもあります。

そこで、まずはCLP規則を正しく理解し、日本語で対応可能な第三者に一時的に現地責任者を依頼するのが現実的な選択です。

Swapsssでは、EU法人としてUFIコードの取得・PCN提出・表示対応まで一括で支援しております。実際の欧州展開前に、ラベルや販促物を含む試作品レベルでも対応が可能です。まずはお気軽にご相談ください。

CLP規則・UFIコードへの対応を怠ると

法的リスク

  • 罰金や製品回収命令(加盟国によっては数千〜数万ユーロ)

  • 販売差し止めや通関拒否

  • ECHAや各国当局によるブラックリスト化

実務上の損失

  • ディストリビューターとの取引が停止/遅延

  • 規制非対応が発覚し、パッケージやラベルの再印刷・再生産

  • シールでの対応による追加コストや信頼性低下

  • 展示会や輸出イベント直前に出荷停止 など

欧州展開の初期フェーズでこそ、CLP規則対応を行うことで、将来的な余計なコストや信頼失墜を防ぐことができます。

今後の規制強化や動向にも注意

CLP規則およびUFIコードに関しては、今後さらに適用範囲の拡大や義務内容の厳格化が進む見込みです。特に以下の動きに注目が必要です:

  • デジタルラベル対応(QRコード化)の検討

  • オンライン販売事業者への表示義務の強化

  • PCN提出情報のリアルタイム更新要件の導入

このような変化に柔軟に対応するためにも、専門知識を持つパートナーと連携しながら進出準備を行うことが、長期的な成功の鍵となります。

まとめ

欧州進出において、CLP規則とUFIコードの対応は、もはや「やっておいた方が良い」レベルではなく「義務」です
たとえ販促用サンプルやテストマーケティング用の製品であっても、CLP対象製品であればUFIコードの取得と毒性センター(PCN)提出が必要です。

  • 雑貨として扱われる製品でも成分次第でCLP対象

  • 日本企業だけでは提出不可。現地責任者の選任が不可欠

  • 初回の段階で規制対応を済ませておくことで、信頼性や費用面でも有利に

Swapsssでは、日本語での対応・規制分類・UFI発行・PCN提出まで、ワンストップで支援しています。
まずは「うちの商品は対象になるのか?」という簡単なご相談でも大歓迎です。欧州進出の第一歩として、ぜひお気軽にご連絡ください。

規制対応の不安は専門家にお任せを