REACH規則のSVHC(高懸念物質)について

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はじめに

EU市場に輸出する日本企業にとって、「REACH規則」への対応は避けて通れません。
その中でも特に注意すべきが、「SVHC:高懸念物質」制度です。

2025年現在、SVHCリストは240種類以上に拡大しており、毎年6ヶ月ごと(1月・7月)に新たな物質が追加されています。
対象物質を含む製品をEUに輸出する企業は、最新のリストを常に確認し、通知・報告義務を適切に果たすことが求められます。

本記事では、REACH規則におけるSVHCの基本概念から、対象範囲、ECHA(欧州化学品庁)への通知手順、罰則、そして日本企業が取るべき実務対応までを詳しく解説します。

REACH規則のSVHCとは?

SVHCとは、REACH規則の中で特に人や環境への有害性が高いと認定された化学物質を指します。
つまり、REACH全体の中で「特に危険な物質」を個別に管理する仕組みがSVHC制度です。

REACH規則自体は、「年間1トン以上の化学物質を製造または輸入する事業者」に対してECHAへの登録を義務付けています。
一方で、SVHCの場合は「輸入量」ではなく、製品中の含有濃度(0.1wt%以上)を基準に管理義務が発生します。
ここが非常に重要なポイントです。

つまり、製造・輸入量が少なくても、製品に0.1wt%以上のSVHCが含まれていれば報告対象になります。
これにより、完成品メーカーだけでなく、部品・素材・包装材サプライヤーまで規制の対象となります。

SVHCの対象品の一例

SVHCは、化学物質だけでなく「完成品」にも適用されます。
そのため、以下のような広範な業種が対象になります。

 

業種対象となる代表的製品該当しやすいSVHC例
工業機器電子部品、ケーブル、塗装金属フタル酸エステル(可塑剤)、鉛化合物
印刷業インク、トナー、接着剤ベンゾトリアゾール、ホルムアルデヒド
化粧品・日用品パッケージ、容器、香料BPA、フタル酸ジブチル(DBP)
家具・衣料プラスチック部品、染料六価クロム、アゾ染料
加工食品関連包装フィルム、ラベルPFAS(有機フッ素化合物)

 特に、PFAS(有機フッ素化合物)やフタル酸エステル類は今後さらに厳格な制限が予定されており、2026年以降は使用禁止になる可能性も指摘されています。

SVHCの通知・登録義務

SVHCを含む製品をEU市場に供給する場合、企業にはECHA(欧州化学品庁)への通知義務が発生します。

■ 通知が必要となる条件

  • 製品中にSVHCが0.1wt%以上含まれている

  • EU域内での流通量が年間1トン以上

■ 提出先・提出方法

  • 提出先:ECHA(欧州化学品庁)

  • 提出方法

    1. IUCLID(ECHA提供のソフトウェア)で通知書を作成

    2. ECHA Submission Portal からオンライン提出

    3. 提出後、ECHAより受領確認(UUID番号)が発行される

■ 記入内容(主要項目)

  • 製造者/輸入者の情報

  • 製品名、カテゴリ、用途

  • SVHCの名称・濃度・位置(部品単位で特定)

  • 安全使用上の情報

■ EU拠点がない場合の注意点

日本企業が直接ECHAに通知することはできません。
そのため、EU域内法人またはEU責任者を通じて通知する必要があります。
この仕組みは、化粧品・化学品だけでなく、工業製品全般にも共通です。

SCIP報告(リサイクル目的の報告義務)

REACHとは別に、2021年1月から廃棄物枠組指令に基づき、SVHCを含む製品のSCIP報告が義務化されています。

■ SCIP報告が必要な条件

  • 製品中にSVHCが0.1wt%以上含まれている場合

  • EU市場に供給するすべての事業者(メーカー、輸入者、販売者)が対象

■ 報告内容

  • 製品情報(名称、カテゴリ、機能など)

  • 含有SVHC情報(物質名、濃度範囲、位置)

  • 安全使用に関する情報

■ 提出方法

  • ECHA Cloud Servicesでアカウントを作成

  • IUCLIDで報告ファイルを作成

  • ECHA Submission Portal から提出

このSCIPデータは、リサイクル業者や自治体が再利用・廃棄処理時に参照する公共データベースに登録されます。
つまり、環境保護とサプライチェーンの透明化を目的とした制度です。

SwapsssのSVHCサポート

Swapsssでは、欧州在住の専門チームが以下の支援を提供しています。

  • EU責任者代行

  • ECHA通知・SCIP報告の代理提出

  • サプライチェーン調査・物質分析サポート

  • 四半期ごとの最新SVHCリスト更新レポート

  • 法改正時の個別通知・リスクアラート

日本企業単独での対応は非常に困難ですが、Swapsssが「貴社の欧州支社」として実務を代行することで、最小限の負担でコンプライアンスを実現できます。

まとめ

REACH規則のSVHCは、EUにおける化学物質管理の中でも最も実務的かつ厳格な制度の一つです。
「量」ではなく「濃度」によって義務が発生するため、中小企業や部品メーカーも対象になる点を軽視できません。

  • SVHCは年2回リスト更新(現在240種類以上)

  • 0.1wt%以上含有で通知義務発生

  • ECHA通知+SCIP報告が必要

  • EU責任者の設置が必須(欧州に拠点がない場合は申請不可)

Swapsssでは、ECHA対応・代理申請・監視レポートまで一気通貫でサポートしています。
欧州向け製品のREACH・SVHC対応に関してお悩みの際は、ぜひお問い合わせください。

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