はじめに

グローバル市場への進出は企業にとって大きなチャンスである一方、慎重な準備と戦略的な計画が求められます。この記事では、海外進出に必要な要素を整理し、成功するために抑えるべきポイントを具体的に解説します。これから海外市場を目指す企業にとっての羅針盤となる内容を目指します。

自社商品の分析

海外展開の前にまず取り組むべきは、自社商品の棚卸しです。以下の観点で自社商品を見つめ直し、ターゲット市場の決定につなげましょう。

市場ニーズとの整合性:海外市場で求められているか?

競合優位性:代替品に対してどのような差別化要素があるか?

価格帯:輸送費や関税を含めた価格で競争力があるか?

商品への思いとストーリー:現地の消費者が共感できる背景があるか?

これらを踏まえ、単なる輸出ではなく「ブランドを届ける」視点で考えることが重要です。

ターゲット市場の決定

どの国・地域を狙うかは、企業戦略の根幹を成します。単純に参入障壁の低さでアジア市場を選ぶのではなく、

  • 中長期的な展望

  • ブランド価値の形成

  • 二次展開の戦略

を踏まえた上で、市場選定する必要があります。

例えば、アジアの富裕層は「フランス製」に高い信頼と憧れを抱いています。一方、アジア市場はコモディティ化しやすく、安価な類似品が多いため価格競争に巻き込まれるリスクがあります。

そこで、まず欧州市場で実績を築き、「パリで扱われているブランド」としてアジアに逆輸入展開する戦略は、強いブランド力で戦えるため、価格競争を回避しやすくなります。

販売戦略を考える

海外進出においては、単に売るだけでなく「どうやって売るか」が重要です。以下のように販売チャネルごとに戦略が異なります。

  • D2C戦略:ブランディングと顧客接点を最大限活用する反面、物流とCSに課題。

  • B2B戦略

    • ディストリビューター経由:市場展開スピードは早いが、マージンやブランド統制に注意。

    • リテーラー直取引:現地との信頼構築や営業スキルが求められる。

  • OEM戦略:MOQ、価格、契約交渉がキーになる。

初めての海外展開ではリソースが限られているため、焦点を絞って1つずつ着実に実行することが重要です。

弊社では、これまで1000社以上の支援実績から、企業の状況や事業部の売上コミットメントに応じた最適な戦略立案をサポートしています。

 

海外のビジネスルールを理解し準備する

海外では商習慣や取引のルールが日本と大きく異なります。以下の要素を十分に理解・準備しておく必要があります。

上代設定に関する法規制(例:独占禁止法)

独占販売権の管理

サンプル提供の有無と費用負担

輸送費・関税・課税/非課税区分

支払い条件と回収リスク

初回取引と継続取引では信頼や条件も変わるため、商談においても「相手の立場」や「心理」を読みながら交渉する力が必要です。

海外進出の失敗するケース

失敗の多くは、目的設定の曖昧さから始まります。以下のようなケースは注意が必要です。

  • 「海外での取扱実績が目的」

  • 「現地代理店の獲得が目的」

このような目的は、商流を誤認し、数年後もローカル市場に商品が流通していないという結果を招きます。

アンテナショップの落とし穴

日本製品を集めた「アンテナショップ」は話題性はあるものの、ニッチな店舗が多く、

  • 来店数が少ない

  • 売上が安定しない

  • 卸数量と販売希望数量にギャップがある

という構造的な問題を抱えています。

販売力のない代理店

現地代理店を簡単に見つけても、

  • 実際には販売力がない

  • 営業マンがいない

  • 顧客網がない

ということも多く、販売が伸びないまま独占販売権だけを握られ、対策が取れなくなるケースが後を絶ちません。

 

まとめ

海外進出は魅力的な挑戦ですが、感覚や希望だけで進めると失敗のリスクが高まります。

  • 自社商品の本質的価値を理解し

  • 緻密なターゲット市場の選定を行い

  • 現地のルールや商習慣を把握し

  • 販売戦略とリソースを現実的に整え

  • 結果にこだわるための中長期計画を描く

ことが成功の鍵です。

海外展開は「売る」こと以上に、「現地の消費者に選ばれるブランドになる」ことが重要です。その第一歩として、計画的な準備を始めましょう。

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