現状、はじめに

弊社には、欧州市場進出を視野に入れた企業様から、欧州規制やリサイクルマークに関するご相談が増えております。
同時に、すでに欧州での販売を開始された後、「規制を知らなかった」「対応が遅れた」といった理由でトラブルに巻き込まれ、救済を求められる企業様も少なくありません。

本記事では、「リサイクルマーク」を中心に、欧州のパッケージ規制の概要から、規制を怠った場合に起こる致命的なリスクや実例までを解説いたします。

欧州リサイクルマーク、欧州規制を理解する

まず大前提として、欧州の規制は大きく「製品本体に関する規制」と「パッケージに関する規制」の2つに分かれます。

製品本体に関する規制の例

  • CEマーク:EU加盟国で販売される多くの製品に必要な「安全性・性能・環境影響」に関する自己適合宣言。

  • CPNP(化粧品通知ポータル):化粧品をEU市場に投入するための登録制度。

  • RoHS:電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限。

  • REACH規則:化学物質の有害性とリスク管理。

  • WEEE指令:電気・電子機器のリサイクル回収義務。

  • バッテリー指令:電池の取り扱いに関する規制。

  • エコデザイン指令:省エネ・環境配慮のある設計を求める指令。

  • エネルギーラベル規則:製品のエネルギー効率表示義務。

  • 玩具安全指令:玩具の安全性に関する基準。

  • 医療機器規則(MDR):医療機器の全ライフサイクルをカバーする規制。

  • 建設製品規則(CPR):建設用資材の性能表示ルール。

  • 無線機器指令(RED):無線通信機器(Bluetooth、Wi-Fi等)への適用。

  • 食品接触材料規制(FCM):食品容器や包装材の安全性管理。

パッケージに関する規制の例

  • リサイクルマーク:パッケージ素材のリサイクルに関する識別マーク(PAPマークなど)。

  • Trimanマーク(フランス):リサイクル義務を示す統一マーク。

  • Green Dot(ドイツ):包装リサイクルの費用を支払った証明マーク。

  • EU包装・包装廃棄物指令:包装材の再使用・リサイクルを義務付け。

  • PAPマーク:紙素材を識別するリサイクル表示。

  • ALUマーク:アルミ素材の識別。

  • PETマーク:プラスチックボトルの識別マーク。

  • GLマーク:ガラス素材を示す識別マーク。

  • Compostableロゴ:生分解性素材であることを示すマーク(欧州規格EN13432対応)。

  • Mobius Loop:リサイクル可能な素材であることを示す国際汎用マーク。

  • ドイツVerpackG法:包装材の登録・リサイクル義務に関する国内法。

  • イタリアの環境ラベリング義務:2022年から義務化されたパッケージ素材識別表示。

欧州リサイクルマーク、欧州規制の申請、登録、認証など理解する

よくある誤解として、「CEマーク=認証を受けるもの」と捉えられているケースがあります。

しかし、CEマークの本質は「自己適合宣言」です。

つまり、製品が安全であることを事業者自身が証明し、その責任を負うものです。

例外として、LED製品やリチウムイオン電池などの特定カテゴリは、第三者機関の試験・検証が義務付けられています。とはいえ、日本国内の認証機関に数百万円を支払っているケースも多く、弊社が連携するドイツの専門機関では、その半額以下で対応可能です。

さらに、リサイクルマークに関しては、正しい素材表示と登録番号が必要であり、国ごとに規定された情報を正しく表示することが求められます。

欧州リサイクルマーク、欧州規制を怠って欧州展開すると

欧州市場での販路開拓にあたり、アンテナショップや小規模なリテーラーとの取引では、初期段階でのリスクは限定的です。

しかし、本格的に事業を拡大し、多店舗展開型のリテーラーや現地ディストリビューターとの契約を目指す場合、話は大きく変わります。

なぜなら、欧州の流通業者(特に営業型のディストリビューター)は、自身の法的リスク回避のため、規制未対応の商品は一切扱いません。

ディストリビューターの顧客は数百・数千の小売店舗に及び、規制違反によるクレームや訴訟、当局の視察はすべて「彼らの責任」となります。

このように、未対応の商品を扱うことで、企業としての信頼を一瞬で失うリスクが常に存在します。

欧州リサイクルマーク、欧州規制を怠ると、必ず足元を掬われる

規制未対応がもたらす最も深刻な影響は、「成長フェーズでの足元崩し」です。

商品がヒットし始めると、競合他社からの匿名通報や監督当局による抜き打ち検査が入ることが多くなります。
この段階での販売停止や損害賠償請求は、最悪の場合、ビジネスの根幹を揺るがす可能性があります。

また、税関での差し止めも頻繁に発生します。

規制違反の疑いで一時保留された場合、現地語での追加書類対応が求められ、1週間以上の遅延は珍しくありません。この期間中、倉庫保管料や通関関連費用が日々発生し、取引先が受け取り拒否するケースすらあります。

さらに、商取引が悪化すると、契約上有利な立場を盾に、規制未対応を理由とした不利な再交渉を求められる事例も存在します。

まとめ

欧州市場での成功には、「ルールを守る」ことが最低条件です。
リサイクルマークを含む欧州規制への対応は、消費者の信頼確保、ディストリビューターとの安定取引、そして長期的なブランド維持のために欠かせません。

弊社では、現地専門家との連携を通じ、最新の規制対応・書類作成・流通戦略まで一括でサポートしております。
欧州展開を成功させるには、「今」からの準備がカギとなります。

欧州への輸出に関するご相談など、お気軽にお問い合わせください。