はじめに

「フランス進出」というキーワードは、現在ますます多くの日系企業が注目している戦略的展開の一つです。フランスは欧州の中でも経済・文化の中心地であり、ブランディング、販売戦略、さらにはグローバル展開の要となる国です。本記事では、フランス展開のメリットや実際のマイルストーン、さらには成功するための戦略について詳述します。

フランスに拠点を持つ日系企業の現状

2023年時点で、フランス国内には約800社以上の日系企業が拠点を構えています。業種は多岐にわたり、自動車、電子機器、化粧品、食品、金融、ITサービスなど、多方面に広がっています。特にパリやリヨン、トゥールーズといった都市は、ビジネスインフラが整備されており、現地法人の設立や事業展開がスムーズに行える環境が整っています。

フランス政府の投資・イノベーション支援

フランスは「La French Tech」や「Choose France」などの国家プロジェクトを通じて、外国企業の進出を強力にサポートしています。スタートアップから中堅企業まで、法人設立の手続き簡略化、税制優遇、助成金制度、研究開発支援など、さまざまなインセンティブが用意されています。

また、フランスはEU圏内で最も研究開発投資が盛んな国の一つであり、革新的な技術やサービスの開発に適した土壌を持ちます。特にエネルギー、環境、医療、AI分野でのイノベーションは、世界的にも高く評価されています。

トレンドはフランス市場から

パリは、世界のファッションやライフスタイルの発信地であり、パリコレクションには世界中のセレブ、バイヤー、メディアが集結します。この期間中、パリ市内のパワーショップを訪れ、市場調査を行うのがバイヤーや業界関係者の通例です。ここで取り扱われる商品は、世界市場への道を開くきっかけとなり得ます。

つまり、フランス進出は単なる販路拡大ではなく、「世界的ブランディング」の第一歩でもあるのです。この戦略の実行には、現地事情に精通した弊社のサポートが不可欠です。

フランス進出によるブランディング向上

フランス市場に展開することは、商品のブランド力を高め、国内外での販売促進に直結します。SNSでの発信力が高まり、価格競争に巻き込まれず、安定した収益構造を築けるようになります。

たとえば、東南アジアからフランス、欧州への展開よりも、フランスから欧州、さらに東南アジアへの展開の方が、ブランディング価値は格段に高くなります。これは「フランス発」の印象が、世界中のバイヤーに強い説得力を持つためです。

欧州展開への足がかりとしてのフランス進出

弊社が提供するフランス進出支援では、商品をニッチ市場のアンテナショップや小規模なリテーラーではなく、ローカルの主要ディストリビューターに届けることを重視しています。

これにより、直接的に他国(例:ドイツ、イギリス)の支社を持つバイヤーと取引が成立し、フランスを起点にした自然な形での欧州展開が実現します。狙っていなかった国で自然と商品が売れるという好循環が生まれるのです。

欧州ビジネスルールの理解が鍵

フランスを含む欧州市場では、商談において現地の商習慣や契約文化を理解することが不可欠です。たとえば:

  • 年間買付予算の把握
  • 稟議・承認フロー
  • 市場調査と競合分析
  • 欧州規制
  • フランス独自規制
  • 関税や非課税条件の確認
  • 現地課税ルール
  • 支払い条件(初回/継続)
  • 返品・破損時の対応
  • 総額や数量に応じた価格のグラデーション設定

このような準備が整っていないと、商談は頓挫する可能性があります。

欧州では上代設定はNG

日本企業が特に戸惑う点として、欧州や米国では「上代設定」が禁止されている点が挙げられます。独占禁止法に抵触するため、定価を指定することはできません。

欧州連合(EU)における再販売価格維持行為(上代設定)は、EU機能条約第101条に基づき、競争制限的な協定として禁止されています。

そのため、商談の際には「店頭価格50%で卸します」ではなく、「卸価格はXXXユーロです」という言い回しが求められます。この違いを理解していないと、相手に不信感を与え、商談のチャンスを失う恐れがあります。

なお、唯一価格をコントロールできる企業はApple社のような例外的存在のみです。

まとめ

フランス進出は、日本企業にとって単なる「海外展開」ではなく、「グローバルブランド化」への扉を開く戦略です。現地ディストリビューターとの連携、欧州ビジネスの理解、イノベーション環境の活用、そしてトレンド発信地としての価値——これら全てが結集するフランスは、今まさに進出すべき市場といえます。

弊社は、その第一歩から継続的な展開まで、包括的にサポートいたします。

フランス進出、欧州進出に関して、お気軽にお問い合わせください。