PFAS法とは何か
PFAS法とは、PFAS(有機フッ素化合物)の使用・含有を制限または禁止する欧州規制の総称です。
PFASは耐熱性・耐水性に優れる一方で、環境中で分解されにくく「永遠の化学物質」とも呼ばれ、健康・環境への影響が問題視されています。
欧州ではREACH規則のもとで包括的な制限が進んでおり、今後は多くの用途で原則禁止に向かう動きがあります。
これにより、従来は問題なく販売できていた製品でも、PFASを含有している場合は欧州市場での販売が制限される可能性があります。
PFAS規制は一部製品の問題ではなく、包装材、電子機器、繊維製品など幅広い分野に影響するため、欧州展開を行う企業にとっては避けて通れない重要な規制です。
欧州におけるPFAS規制の最新動向
欧州におけるPFAS規制は、現在「全面規制(ほぼ禁止)」に向けて急速に進んでいます。
まずEU全体では、REACH規則に基づきPFASを包括的に制限する提案が進行しており、欧州化学品庁(ECHA)が2026年までに評価を完了し、その後EU全体での規制導入が予定されています。
さらに、すでに一部規制は先行して実施されています。
例えばフランスでは2026年から化粧品や繊維製品などでPFASの製造・販売が禁止されており、欧州各国で同様の動きが拡大しています。
また、EUの新たな包装規制(PPWR)では、食品接触包装におけるPFAS使用が2026年から実質的に禁止される予定であり、包装材を含めた広範な業界に影響が及びます。
加えて、飲料水や環境分野でもPFASの厳格な基準値が導入されており、規制は「製品単体」ではなく「社会全体」に広がっています。
このように、PFAS規制は単一の法律ではなく、複数の規制が同時に進行している点が特徴です。
今後は「使用制限」ではなく「原則禁止」に移行する流れが明確であり、欧州展開を行う企業にとっては早期対応が不可欠です。
なぜPFAS規制が強化されているのか
なぜPFAS規制が強化されているのか
PFAS規制が強化されている最大の理由は、「分解されない・蓄積する・健康リスクがある」という3点です。
PFAS(有機フッ素化合物)は耐熱性・耐水性に優れる一方で、自然環境中でほとんど分解されず、土壌や水、人体に長期間蓄積します。
このため「永遠の化学物質」とも呼ばれ、世界的に問題視されています。
また、一部のPFASについては発がん性やホルモンへの影響など、人の健康へのリスクが指摘されており、EUでは予防原則の考え方に基づき、リスクが完全に証明されていない段階でも規制を強化する方針が取られています。
さらに、PFASは非常に多くの製品に使用されているため、個別規制では対応しきれず、「包括的に禁止する」方向へ政策がシフトしています。
このようにPFAS規制は環境問題だけでなく、健康・社会全体のリスクとして扱われており、欧州では最も厳しい規制の一つとして位置づけられています。
PFAS規制の対象となる製品・業種
PFAS規制の対象となる製品・業種
PFAS規制の対象は非常に広く、特定の業界に限定されず、多くの製品に影響します。
主な対象は以下の通りです。
・包装材(食品接触材料、紙・プラスチック包装)
・繊維製品(防水・撥水加工された衣類、カーペット)
・電子機器(半導体、基板、コーティング材)
・自動車部品(シール材、潤滑剤、耐熱部品)
・化粧品(防水・耐久性向上成分)
・調理器具(ノンスティック加工)
特に注意すべきは、「製品そのもの」だけでなく、部材・コーティング・添加剤としてPFASが使用されているケースです。
自社製品に直接使用していなくても、サプライチェーン上で含有している可能性があります。
また、欧州規制では「用途ごと」ではなく「物質群として包括的に規制」する動きが進んでいるため、従来は対象外とされていた製品も今後規制対象となる可能性があります。
欧州展開を行う企業にとっては、「自社製品は関係ない」と判断するのではなく、サプライチェーン全体での確認が必要となる点が重要です。
自社製品はPFAS規制の対象か
自社製品がPFAS規制の対象かどうかは、「含有有無」「用途」「サプライチェーン」の3点で判断します。
まず、製品や部材にPFAS(有機フッ素化合物)が含まれているかを確認します。表面処理(撥水・撥油)、コーティング、添加剤として使用されているケースが多く、最終製品に明示されていない場合でも注意が必要です。
次に用途です。
食品接触材料、繊維製品、電子部品など、規制が強化されている分野に該当する場合、優先的に確認が必要となります。
さらに重要なのがサプライチェーンです。自社で使用していなくても、原材料や部品に含まれている場合、規制対象となる可能性があります。そのため、サプライヤーへの確認(SDS・成分情報取得)が不可欠です。
欧州規制では「意図的使用の有無」ではなく「含有しているか」が判断基準となるため、欧州展開を行う企業は事前の確認が必須となります。
PFAS未対応のリスク
PFAS規制に未対応の場合、欧州市場での販売停止や製品回収といった直接的なリスクが発生します。
EUではREACH規則を中心にPFASの包括的な制限が進んでおり、規制対象となった場合、含有製品は販売できなくなります。
通関時の差止めや、市場からの撤去命令(リコール)の対象となる可能性もあります。
また、取引先やディストリビューターからは、PFASフリー証明や成分情報の提出を求められるケースが増えており、対応できない場合は取引停止につながります。
さらに、違反が発覚した場合、罰金や是正命令だけでなく、EUの安全アラート(Safety Gate)への掲載により、ブランド毀損や継続的な監視対象となるリスクもあります。
PFAS未対応は単なる規制違反ではなく、「欧州展開そのものができなくなるリスク」である点が重要です。
PFAS規制への対応方法
PFAS規制への対応は、「特定」「評価」「対策」「運用」の4ステップで進めます。
まず、製品およびサプライチェーンにおけるPFASの有無を特定します。
SDS(安全データシート)やサプライヤーへの確認(成分開示)により、意図的使用・非意図的含有の両方を洗い出します。
次に、欧州規制(REACH等)との照合を行い、対象用途・含有可否・閾値の評価を実施します。
用途によっては猶予や例外の有無も確認が必要です。
そのうえで、PFASフリー材料への切替、代替設計、製造工程の見直しなどの対策を講じます。
並行して、技術文書や適合証明(Declaration of Compliance 等)の整備を行います。
最後に、継続運用として、規制更新のモニタリング、サプライヤー管理、定期的な成分再確認を実施します。PFAS規制は拡大中のため、一度の対応で終わらせず、継続管理体制の構築が重要です。
日本企業が直面する課題
PFAS規制への対応において、日本企業は主に「情報不足」「サプライチェーン管理」「意思決定」の3つの課題に直面します。
まず情報面では、PFASは意図的に使用していない場合でも、原材料や部材に含まれているケースが多く、SDSだけでは把握できないことがあります。
サプライヤーから十分な成分情報が取得できず、判断が進まないケースが多く見られます。
次にサプライチェーン管理です。欧州規制では最終製品だけでなく部材レベルでの確認が求められるため、複数のサプライヤーにまたがる情報整理が必要となります。
海外サプライヤーとの調整や言語対応も負担となります。
さらに意思決定の遅れです。PFAS規制は「全面禁止」に向かっている一方で、具体的な施行時期や例外が流動的であるため、企業内で判断が先送りされやすい傾向があります。
欧州展開においては、「確定してから対応する」のではなく、「規制方向を前提に先行対応する」ことが重要な課題となります。
What Swapsss can do for you
Swapsssは、PFAS法および欧州規制への対応について、調査から実務運用まで一貫して支援します。
・自社製品のPFAS該当有無の診断(製品・部材・用途の整理)
・欧州規制(REACH等)との適合性評価(禁止・制限・例外の確認)
・サプライヤーへの成分確認スキーム構築(SDS/追加質問票の設計)
・PFASフリー代替の検討支援(素材・工程の見直し)
・適合証明書・技術文書の整備(DoC等)
・ラベル・表示の適合チェック
・規制更新モニタリングと影響評価(継続運用)
・当局・取引先からの要求への対応支援
「PFASが含まれているか分からない」状態を解消し、欧州展開で販売できる状態まで実務ベースで構築します。
まとめ
PFAS法と欧州規制対応のポイント
PFAS法と欧州規制対応のポイント
PFAS規制は欧州展開において避けて通れない重要な規制であり、今後は「制限」から「原則禁止」へと移行する流れが明確です。
対応のポイントは、「自社製品にPFASが含まれているかの特定」「欧州規制との適合性評価」「代替・設計の検討」「継続的な管理体制の構築」の4点です。
特に重要なのは、最終製品だけでなくサプライチェーン全体での確認です。
自社で使用していなくても、部材に含まれている場合は規制対象となる可能性があります。
また、PFAS規制は更新が続くため、一度の対応で終わるものではなく、継続的なモニタリングが必要です。
欧州展開を進める企業にとっては、「後から対応する」のではなく、「事前に対応する」ことが事業継続の前提となります。