はじめに

グローバル市場への関心が高まるなか、多くの日本の中小企業が海外展開を模索しています。国内市場の成熟、人口減少、競争の激化などを背景に、「今こそ海外市場へ」と舵を切る企業が増えています。

しかし、成功への道のりは決して平坦ではありません。必要なのは、計画性、戦略性、そして長期的な視点です。本記事では、欧州支援1,000社超の実績をもとに、中小企業が海外展開で押さえるべき要点を解説します。

海外展開の目的を計画的に

まず重要なのは、なぜ海外展開をするのかを明確にすることです。以下のようなケースがよく見られます:

  • 国内市場の成長限界を感じ、販路を拡大したい
  • アジアやアメリカ市場で一定の成功を収め、次に欧州市場を狙いたい
  • 海外からの問い合わせが増加し、手応えを感じている

これらはすべて立派な動機ですが、「なんとなくの手応え」だけで動くのではなく、具体的な売上目標やブランド強化、グローバル展開のフェーズ設計を踏まえた目的設定が鍵になります。

 

社内リソースを整備する

海外展開は新規事業と同じ。必要なリソースを洗い出しましょう:

  • 海外事業に精通した人材(語学・法務・輸出入・マーケティング)

  • 商品管理、販売契約、規制対応に関する知識

  • 国際送金や販売条件の策定経験

これらを社内で内製するか、あるいは現地支援会社を活用するかの判断が必要です。

特に、中長期での展開を見据える場合は、人材投資を惜しまないこと。一方、初期は外部パートナーを活用し、試験展開する手法も有効です。

年間投資額を計画する

海外進出は「先行投資型ビジネス」です。現地で認知を得るためには、資金的余裕が不可欠です。

以下のような選択肢があります:

  • 自社資金による計画的な投資
  • JETROや地方自治体の補助金・助成金の活用
  • 金融機関からの借入、VCからの出資

ただし、成果報酬型モデルに過度に依存するケースは注意が必要です。弊社の支援実績から見ても、初期投資ゼロで成果のみを追う企業は成功率が低く、途中で撤退するケースが多い傾向にあります。

ターゲット国の選定

海外と一口に言っても、国ごとにリスクと機会は異なります。

  • アジア市場:参入障壁が低く見えるが、価格競争が激化

  • アメリカ市場:規模が大きいが競争も激しい

  • 欧州市場:ブランド志向が強く、日本品質との親和性が高い

特にフランス市場は、アジア富裕層にとっても憧れの地。ここでの実績は、ブランド価値の向上にもつながります。逆輸入的に日本国内でのマーケティング効果も狙えます。

市場調査の重要性

海外展開の成功の鍵は、精度の高い市場調査にあります。

  • ターゲット層の属性・嗜好

  • 現地メディアやSNSの利用傾向

  • 同カテゴリ商品との価格差・競争力

これらを正確に把握できないと、「価格設定ミス」や「販促不発」など、リスクは非常に高くなります。古い情報や不正確なデータに基づいた判断は、失敗の温床です。

専門調査会社や現地支援企業への依頼を強く推奨します。

短期ビジョンを明確に

海外進出の初期段階で「何を目的とするのか」を定義しましょう:

  • 現地小売での取り扱い?
  • 現地代理店の獲得?
  • テストマーケティング?

特に注意すべきは「現地アンテナショップ依存」です。ニッチすぎて来店が売上に繋がらない上、テスト販売の名のもとに委託料を求められるなど、実質的にリスクだけを負う形になるケースも少なくありません。

また、代理店獲得にしても、その企業に「既存販路」「営業力」「人的資源」があるかどうかを確認することが重要です。販売力のない代理店に独占契約を与えてしまい、全く売れないという失敗事例は多発しています。

まとめ

中小企業が海外展開で成功するためには、「準備」「人材」「資金」「市場調査」「短期・中期の目的設定」が欠かせません。

海外展開は夢ではなく、実行可能な成長戦略です。
正しい知識と信頼できるパートナーを持ち、計画的に進めることで、大きな成果を得ることができます。

Swapsss株式会社では、1,000社以上の海外展開支援実績をもとに、計画立案から現地展開までトータルサポートしています。
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